2007年夏から2009年春にかけて、世界的に株式が断続的に急落しました。
このような状況の時、「やはり投資は怖い」「投資は富裕層のもので、自分には関係ない」「投資をしている人は大変だ」という皆さんの声が聞こえてきそうですが、本当にそうなのでしょうか? それでは、上記のようなお考えの方に、少しでも投資を身近に感じてもらうため、月1万円から気軽に始める毎月積立投資について、一緒に見ていくことにしましょう。

毎月積立投資の2つのメリット
(1)複利効果の活用 毎月積立投資なら、一度投資した資金を数年・数十年と長期間運用することになりますね。ということは、長期運用のメリットである「複利効果」を得ることが出来ます。複利とは運用で得た利息を、さらに運用に回して投資をすることで、利息が利息を生む方法です。では、どれぐらい効果があるのか検証してみましょう。
(例)35歳の人が、老後資金準備として、年金支給が開始される65歳迄30年間、毎月1万円を積立投資したとしましょう。
タンス預金(複利0%)だと、1万円×12ヶ月×30年=360万円です。 1%複利で運用できたとすると、30年後に資産は、420万円 3%複利で運用できたとすると、30年後に資産は、584万円 5%複利で運用できたとすると、30年後に資産は、836万円
5%複利で運用できれば、元本が投資金額の5倍以上になっていますね。この複利効果は、2年や3年では、大きな効果は期待できませんが、運用期間が長ければ長い程、効果が絶大です。
(2)ドルコスト平均法の活用 預貯金とは違って、株式・外貨は、毎日価格が変動します。安い時に買いたいという気持ちはわかりますが、実際に予想するのは極めて困難です。そこで有効になってくるのが、ドルコスト平均法の活用です。
(例)投資信託を毎月1万円購入するとしましょう
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投資額
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基準価額
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購入口数
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10月
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10,000円
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10,000円
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10,000口
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11月
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10,000円
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9,000円
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11,111口
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12月
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10,000円
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8,000円
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12,500口
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1月
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10,000円
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11,000円
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9,090口
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2月
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10,000円
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11,500円
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8,695口
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1万口あたりの平均購入単価は、50,000円÷51,396口×10,000=9,728円です。
基準価格が安い11、12月には、口数(購入量)が多くなり、逆に、基準価格が高い1、2月は、口数が少なくなり、結果的に平均購入単価が平均化され、一時金で購入するよりも、リスクが分散されます。
毎月積立投資での投資信託の活用
個人でいくつもの個別銘柄を購入して投資しようとすると、1銘柄だけで数十万かかることがあります。投資信託は月1万円から購入することができ、幅広い銘柄に投資されていますので、リスクを分散することが出来ます。さらに、投資信託の種類によっては、一つの投資信託内で、株式・債券・不動産等へ分散投資をしているものもあります。
毎月積立投資で投資信託を活用すれば、複利とドルコスト平均法の効果に加えて、資産運用において一番重要な、「長期運用」・「分散投資」を実現することが可能です。
毎月積立投資成功のための3つのポイント!
1.相場の上げ下げに一喜一憂せず、長く続けること
2.金融機関から毎月引き落としにして、投資に回すお金をまず確保すること
3.最初に投資した投資信託を、頻繁に変更したりしないこと
投資は富裕層のためだけのものではありません。今後、年金が目減りし、税金・保険料等の負担増が予想されます。また、全ての資産を預金していると、物価上昇に負けてしまう可能性が高いです。これに加えて通貨を円だけで所有していると、円安に進んだ場合、資産が目減りしてしまいます。ですから、資産運用するリスクもありますが、資産運用しないリスクもありますので、一度真剣に将来のこと・投資のことを考えてみるのも良いのではないでしょうか?
CFP 長谷 剛史
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